逃げる恐怖

私の名前は『風音（かざね）』、東京都内の都立高校に通う２年生の女子高生だ。

私は陸上部で３０００Ｍの選手として活動していて、この時期は７月末から８月に開催された全国高等学校総合体育大会陸上競技大会が終わって３年生が引退し、２年生以下の私たちが来年の大会に向けて活動をスタートしたところだ。

暑さも和らいできた９月末の日曜日、今日は高校の授業はなく部活も休みだったため午前中から久しぶりに一人で新宿に買い物に行くことにした。

いつもなら高校の友達と遊び歩くことが多い私だけれど、今日は一人で自由に歩き回りたい気分だった。

まずは新宿駅西口のデパートや百貨店で冬物の洋服やアクセサリーなどを見て、１２時を過ぎて少しお腹がすいたところで昼食をとることにした。

私は友達と新宿に来た時によく利用するパスタ屋さんに入ることにした。

このパスタ屋さんは店内が綺麗でお洒落な雰囲気でパスタのメニューもたくさんあって、どれもおいしそうでいつも何を食べようか迷ってしまうほどだった。

私は何を食べようか迷ったあげく、クリームソース系パスタの『スモークサーモンといくらの明太子クリームソース』と食後の飲み物にカフェラテを注文した。

私がスマホを触って時間をつぶしていると、まもなく注文したパスタが運ばれてきた。

パスタはホクホクでパスタの麺に明太子が絡みつきサーモンと一緒に口の中に入れると、サーモンがとろけるような食感でとてもおいしかった。

パスタを食べ終わると食後のカフェラテを飲みながら、私はこれからどこのお店に行こうかスマホで探していた。

パスタ屋さんを出た私はルミネ新宿でバックや靴などを見てから新宿駅東口に足を運ぶことにした。

駅地下のコンコースを通って新宿駅東口に行き階段を上って地上に出ると新宿駅東口駅前広場に出るが、階段を上ったところで網の仕切りがあってアルタ方面に入ることができない状態になっていた。

しかし網の仕切りの向こう側はいつもと変わらない風景で、普通に人が歩いていて道路には車が走っていた。

不思議に思いながら私は網の下側を自分の手で持ち上げて少し強引に網の仕切りをくぐり抜けてアルタに行こうと歩き出した。