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「あら、宅急便ね、ちょっと待ってねハンコいるわね」
言われて、男は自分がS急便のユニフォームを着たままだということに気づいた。
「いや、ちがうんです。わたし、木月と申します。ここに今日佐々木恵子というひとの荷物が届くと思うのですが」
そう言うと、女性は「あ」と声をもらしてドアをしめた。「そうだよな」と男はまたつぶやいた。突然見知らぬ人間がたずねてきて、今日届く荷物がどうとかきくのだから、訪問詐欺に間違えられても仕方がない。
男がひとつため息をついて、その場を離れようとしたら、ドアが開いた。
「あなたが木月さんね。ずっと探してたわ。これ、あなたの荷物」
そういって女性は箱を四つ、男に手渡した。すべて宛名は男の名前で、差出人は恋人だった。
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