届かない荷物

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 それからわたしたち友達になってね。あなたを探すって約束しちゃった。簡単にみつかると思った。今はSNSもあるし、いちどお芝居を真剣にしたひとは憑りつかれるっていうから、また劇団をおこすか、なにかに出るだろうから。でも見つからなかった。わたしも探偵じゃないからね。ずっと探してるわけにもいかないし。で、またクリスマスが近づいてきて、彼女からメッセージが来て、また荷物送っていいですかって、今度はふたつ、わたしとあなたに。律儀だわあ。ほんと好き」  彼女が興奮してしゃべっているあいだ、男は自分で買ったフィナンシェを食べた。なにも言うべき言葉見つからず、だされたコーヒーを飲んだ。白木のテーブルに小さなクリスマスツリーが飾ってあった。タンスの上には家族写真が飾ってあった。幸せのにおいがした。 「まさか、木月さん、あなたが訪ねてくるなんてね」  ピンポンとチャイムがなった。 「はーい」と女性が返事をして席をたった。 「あ、宅急便屋さん。いいとこにきた」  ふりかえるとS急便の制服をきた見知った男が荷物をふたつもって立っていた。 「木月さんきたわよ」  男は玄関で恋人の荷物を受け取った。あたりまえだが作業場で見たものと同じ荷物だった。
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