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「いい加減教えてください。…アイツはどこですか?」
俺たちの登場で若干和らいだ空気が、またピリつく冷えを帯びた気がした。
「確認するが、佐野はいつからいないんだ」
「昼過ぎから連絡が取れていないです。」
それを聞くと だろうな。と小さく頭をかく動作をひとつして、徐に会長が携帯を手に取って画面を見るよう促す。
「?」
それを理解するのに、少し時間がかかった。
解像度の低い白黒映像を3人でジッと見つめること数秒。最初に気づいたのは一番真ん中で見ていた天堂で「……は?」と漏れ出たつぶやきとともに固まった。
次いでその隣で目を凝らしていた恒星も「……嘘だ」と生気の抜けた声で立ち尽くした。
慎はその二人を尻目にソレをじっと眺めると、意味することを自覚した瞬間身体に電気が走るような感覚を覚えた。
それは、白黒で映し出された1枚の画像だった。
「……知ってる者もいるでしょうが、本日学園の方で騒ぎがあり、『白金』の暴走族幹部2人をその場で逮捕した。」
部屋の壁にもたれてじっとしていた安藤先輩が話し出すのを、俺達は信じられない面持ちで聞いていた。
「白金……?なんで今そんな話を」
「昼間逮捕された者を含め、本国で指名手配されていた幹部は全員で5人。残りの3人は未だ行方知れずで警察も手を焼いていたそうだ。……━━━━━そこに写っている3人が、指名手配犯達だ。」
「・・・・・・」
「そ、そんな……。じゃあ全員がこの島にいたってことか?!」
「目的は不明だが、白金の幹部達は最近になって我が校を標的にしたらしくてな。我々風紀委員メンバーも警察の注意喚起のもと、警備を強化し始めた矢先に、この防犯カメラ映像を見つけてな」
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