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やせ細った彼の母親が、病室で肩を震わせて泣いていた。
『どうして。息子が、息子が死んだら……私はどうしたら』
決して仲が良かったわけじゃない。むしろ俺は嫌われていたような気がする。
足が動かない。
ダメだ、早く、早く何か言わなきゃ
丸くなった背中を見て、俺は声も出さずに静かに包帯が巻かれた拳をぎゅっと握りしめた。
『どうしてよ。どうして……っ。あんな子、助ける必要ないじゃない……』
『ご、ごめ──────────』
『なんで助けたのよ』
突然世界が暗転する。
幼い頃の自分の両手。そこからドロドロと液体が零れ始める。
『な、なんだこれ!!』
驚く声も幼い。溢れる液体が何なのか、白い病室の床をポタポタと斑点のシミを作り、そこからジュクジュクと侵食するように赤黒い色を生み出す
はぁ、はぁ……
息が詰まる。
ここは、病室だ
『違うよ』
振り向いた瞬間、そこに広がっていたのは大きく横転したトラックとサイレンを鳴らす救急車。
空は曇天の雨模様で、座り込んだ先はアスファルトの冷たい地面だった。
『違うよ。ここはキミがボクを殺した場所』
『……葉介くん?』
目の前に立っている男は、いつもの大好きな笑みを浮かべて俺に手を差し伸べていた。
安心した俺は、ほっと息を吐きながらその手を取ろうとした、その時────。突如突きつけられた銃口が、彼を後ろから撃った。
ダァン────!!!
『……ゆう、き』
赤黒い血が、口からこぼれる
「うわあぁぁぁあ!!」
「うおおおぉぉぉお???!!」
ガツンっー!!!
熱烈にデコとデコが衝突した。
ohッ……〜!!!!!!いてぇ、陥没したww
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