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出演条件の提示
・インタビュアー 水嶋怜子。
・7月22日に生配信。
・水嶋怜子と金城尚人の対面形式。(原則、他のスタッフの入室を禁じ、水嶋怜子は自分の考えで質問する。)
・質問は自由ですが、インタビュー時間は金城が放送中に決める。
会議ルームに映像配信サービス・B ZONEのスタッフが集まり、金城尚人の代理から届いた書類を目にし、ディレクターがインタビュアーに水嶋怜子が指名された事に激怒している。
「新人のアナウンサーで生放送?注目される特番が放送事故になったらどうする?」
「す、すいません」
端の席に座った水嶋怜子が頭を下げて謝るが、契約書にサインしたプロデューサーが「水嶋を責めてどうする?」と庇う。
「意図は不明だが、出演を優先し、成功させるのが私たちの仕事ではないか」
「でも私、自信ないです。サッカーなら少しわかりますが、自転車レースは素人ですし、しかも自分で質問を考えて進行しろって事ですよね?」
他のスタッフも「クライマーってクレーム言う人かと思いました」と呟く怜子に、「それはクレーマーでしょ」と呆れた表情で睨んで頭を抱えた。
「クライマーってのは、坂を得意とする自転車乗りの事だ」
「そうなんですか」
当の本人もチャンスが舞い込んだとは言え『もしかしてイジメ?』と苦笑し、ミーティングは成果を得られずに終わった。
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