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ルールはこうした。
互いに1回づつ質問をしていく。しかし一度に複数の名詞を使った質問はしない。例えば、「それは赤か青か?」のように。このルールを適用すれば質問は「それは赤か?」になる。
そして回答はイエスかノーで答える。
それを繰り返して分かった時点でハンドルネームを暴く。先に暴けた方の勝ちだ。
「なんかあれみたいですね。すごく流行った小説」
「小説?」
「えっと……たしか真実と嘘ゲームでしたっけ?」
「もしかして映画にもなった作品のことを言ってます?」
「はい」
「であれば嘘ではなくて挑戦だった気がします。それにもとは海外のウェイ系の人達の間で流行っていたゲームのようですよ」
私たちは物書きだ、物書きは多くの作品に触れている。互いに同じ小説を読んでいて何ら可笑しくはない。それが大ヒットした作品なら尚更だろう。
「たしかタイトルは君の臓器を売り飛ばしたいとかそんな奴でしたよね?」
その作品は菜見が好きな作品だったようで怒ったような表情を作りテーブルを叩いてきた。
「違います。膵臓です」
「ああ、君の膵臓を売り飛ばしたいでしたね」
「嫌い」
彼女の怒った仕草に私はどれほど癒されたことだろう。多忙を極めた12月の疲労が一瞬にして羽ばたいていくようで、私はいつまでも彼女の好きを虐めていたい気分だった。
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