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「成瀬君、おめでとう!」
遠くでオレンジジュースを飲んでいた三咲さんが、そのコップを持ちながらこちらにやって来た。
「あれ?三咲飲まないの?」
「んー。
ほら、今日もしかしたらうちの兄貴が来るかもだから。
成瀬君、声かけたでしょ?
あの人、飲酒運転とかその辺り気にしないから。
帰りは、俺が運転しようと思って」
エヘヘ、と笑う三咲さんは、相変わらず可愛い。
そして、私がこの人と会うのはあのストーカー事件以来で。
その時に、この人に私の事が嫌いだと言われた事を思い出す。
「広子ちゃん。おめでとう!
成瀬君の事、よろしくね!」
え、と思う程、満面の笑みで、私を見ている三咲さん。
「…けど、三咲さんは私の事嫌いなんですよね?」
「うん。嫌いってより、生理的に受け付けないの」
そう、天使のような笑顔で言われる。
私が固まっていると。
「お前、三咲の冗談真に受けんなよ」
そう、成瀬が笑っている。
「俺も、成瀬君が幸せな限りは、そんな広子ちゃんの事を嫌ったりしないから」
「…そうですか」
成瀬が幸せな限り、か。
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