走れ、俊

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 小学生に上がっても、僕は負けなかった。クラスではもちろん、学年でも常に1番だった。  さすがに上級生には敵わないものの、1つ上の子には負けなかった。僅差でも必ず勝った。  僕は走るのが楽しくてたまらなかった。友達が公園でゲームをしていても、それには目もくれず、山の中腹にある境内まで階段を駆け上がっていた。  境内までは200段ほどあり、健脚を目指す地元の高齢者がよく活用していた。  僕は1段飛ばしで200段を駆け、境内から町を見下ろした。  夕日に染まる町並みはどことなく寂しげで、遠くに見える海は何となく不気味に見えた。  僕は景色を見ながら呼吸を整えると、すぐに階段を駆け降り、公園へと戻った。
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