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「ナ~ッ~君っ…」
「… … …」
「ナツ君~」
「… … …」
終わった後に…
爽が俺を背後から抱き締めるような格好で、話しかけてくる。
「なあ…おまえだって良かったんだろ…? 機嫌、なおせよ…」
その指が、俺の胸元をいやらしく這う‥
不意に、両方の胸の先端をつままれ、思わず「あっ… 」と、のけぞる。
俺はため息をついて、口を開く。
「…バカ…おまえの言うこと、嘘ばっか…映画館も変なことする場所みたいに…言うし、ここだってさ…何が、アミューズメント施設だよ…だから入口で俺ら、白い目で見られたんだ…男二人で堂々と来てるって、あのカップルに驚かれたんじゃないかな…恥ずかし過ぎ…こんなこと、するところって、最初から言ってくれたらいいのに…」
「はーー??…最初から言えば、おまえ、俺についてきたのか…?」
「… …」
「言えば、お前は絶対なんだかんだ言って入らなかっただろ…?それじゃ、俺のこれの、おさまりつかねえもん…おまえを抱きたくて仕方なかったし…ま~いいからさ…機嫌なおして、残り時間楽しもうぜ?」
「残り時間?」そんなものが、あるんだ…
「ああ…まだ、4時間くらい滞在できる時間、残ってんだよ。今度こそ、デカい画面で映画見るか、ゲームするか、カラオケ…とか?
もしお腹が空いてるなら食事でもいいぞ?なんでも言え。」
「…なら、映画、観たい…」ぼそりと呟く俺。
もう、変に遠慮したら負けだ…
いつでも自分本位な王様気質の爽、を前にして、
最近の俺は段々とそんな風に、考えるようになってきていた…。
正直今日観た映画は、わざわざ足を運んだにも関わらず、爽の悪戯のせいで全然、頭に入ってこなかった…
唯一覚えているのは激しい男女のセックスシーンくらい…。
今度こそ、まともに人間界で人気のある映画とか、観てみたい…
「よし、じゃあ、なんかつまみやら頼んで、今度こそ映画鑑賞楽しもうぜ」
爽がニッコリ笑って俺にメニューを差し出す。
おまえが言うな…なんて思いながらも、
俺は少しだけ笑って、メニューを受け取った。
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