ナツ・side

31/31
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
「ナ~ッ~君っ…」 「… … …」 「ナツ君~」 「… … …」 終わった後に…  爽が俺を背後から抱き締めるような格好で、話しかけてくる。 「なあ…おまえだって良かったんだろ…? 機嫌、なおせよ…」 その指が、俺の胸元をいやらしく這う‥ 不意に、両方の胸の先端をつままれ、思わず「あっ… 」と、のけぞる。 俺はため息をついて、口を開く。 「…バカ…おまえの言うこと、嘘ばっか…映画館も変なことする場所みたいに…言うし、ここだってさ…何が、アミューズメント施設だよ…だから入口で俺ら、白い目で見られたんだ…男二人で堂々と来てるって、あのカップルに驚かれたんじゃないかな…恥ずかし過ぎ…こんなこと、するところって、最初から言ってくれたらいいのに…」 「はーー??…最初から言えば、おまえ、俺についてきたのか…?」 「… …」 「言えば、お前は絶対なんだかんだ言って入らなかっただろ…?それじゃ、俺のこれの、おさまりつかねえもん…おまえを抱きたくて仕方なかったし…ま~いいからさ…機嫌なおして、残り時間楽しもうぜ?」 「残り時間?」そんなものが、あるんだ… 「ああ…まだ、4時間くらい滞在できる時間、残ってんだよ。今度こそ、デカい画面で映画見るか、ゲームするか、カラオケ…とか? もしお腹が空いてるなら食事でもいいぞ?なんでも言え。」 「…なら、映画、観たい…」ぼそりと呟く俺。 もう、変に遠慮したら負けだ…  いつでも自分本位な王様気質の爽、を前にして、 最近の俺は段々とそんな風に、考えるようになってきていた…。 正直今日観た映画は、わざわざ足を運んだにも関わらず、爽の悪戯のせいで全然、頭に入ってこなかった… 唯一覚えているのは激しい男女のセックスシーンくらい…。 今度こそ、まともに人間界で人気のある映画とか、観てみたい… 「よし、じゃあ、なんかつまみやら頼んで、今度こそ映画鑑賞楽しもうぜ」 爽がニッコリ笑って俺にメニューを差し出す。 おまえが言うな…なんて思いながらも、       俺は少しだけ笑って、メニューを受け取った。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!