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お二人を探しに行くと言う名目で、ぼくたち兄弟も部屋を出ました。いい加減、外の空気も吸いたかった所ですしね。能力を使えば一瞬で居場所が分かりますが、ここはゆっくりと探すことにしましょう。
みな君と二人で、お庭を歩いていると…。何だかちょっと、お見合いをしているような錯覚に陥りました。実際、お見合いに来たと思われる男女の二人組もいらっしゃいましたしね。
みな君も、多分同じようなことを考えているのでしょう。照れくさいのか、珍しく軽口を叩かずに黙って歩いています。
「ふ。二人とも、庭にはいないみたいだねえ?料亭の中を、探そうか…」
ちょっと、声が裏返りました。料亭に入って、トイレの方を探そうとしましたが…。なにぶん広いので、道に迷ってしまいました。幼なじみのせっ君ほどではないけれど、ぼくも方向音痴な所があるんですよね。
「あれ?この部屋は…。客室、かな。ここ、旅館でもあるものね。早く出て、他を探そう…」
言い切らぬ間に、後ろからみな君に身体を抱きしめられました。…もう。誰の目があるかも分からないのに。
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