青い夏

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俺たちの影は目の前に長く伸びて、足を前に動かすたびに形を変える。昔は実咲の影のほうが長かった時期もあったけど今は俺の影のほうがずいぶんと長い。 「向こうの駅の裏の公園にさ、今アイスクリーム屋さんが来てるの知ってる? あそこのアイス食べに行こうよ」 「へえ、あの店今来てんだ」 俺と実咲の高校の最寄り駅の裏にある公園には、不定期にアイスクリームの移動販売車が来る。 そのアイスクリーム屋はおいしいと評判で、俺は高校生になってからの1年半の間にまだ1回しか行ったことがないけど、実咲はお気に入りで販売車が来るたびに行っているらしい。 「けどおまえ、いつも彼氏と行ってんじゃないの?」 「先週行ってきたよ。でも明後日から新作が出るんだって。期間限定で、望も好きな苺だよ」 「まじか。行く」 「やった。決まりね」 実咲が今付き合っているやつは実咲と同じ高校の一つ上の先輩らしい。聞けば、接点は朝の電車の車両が同じなだけだと言う。顔がいいとそれだけで人生得だよな。 と思ってたら、告ったのはなんと実咲のほうからだったらしい。けど相手の写真を見たらイケメンだった。やっぱり顔がいいやつは得だ。 「あさっての放課後どう?」 「あー、あさっては委員会あるから遅くなる」 「あ、例の西岡さんね」 「……べつに西岡に会いに行くわけじゃないけど」 「ほんとかなあ?」 俺が黙ると、実咲は俺の顔をのぞきこんでにやにやと笑い始める。 西岡っていうのは今年委員会が一緒になった同学年の女子だ。前に実咲とも仲がいい中学からの友だちと帰っていた時に、駅で実咲に会って、そういう話になったもんだからばれた。
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