青い夏

5/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
結局、あれから3日後の放課後に、俺と実咲は駅裏の公園で待ち合わせた。 アイスクリーム屋のショーケースの前で2人でさんざん悩んだあと、実咲には「いちご練乳」、自分には「大粒いちご」のアイスを買って公園のベンチに腰かけた。 うまい。やっぱりここのアイスはうまいよな。隣で実咲も「おいしー」と声をあげている。 「いい天気でよかったね」 「だな」 公園内の木々は青々と茂っている。もうすぐ夏本番だ。 昨日の委員会ではいつものように、西岡の隣の席に座って委員会の前後にちょっと話をして、っていう、それだけだった。 それだけだけど、俺には十分だ。隣でアイスをほおばるこいつに言ったらけらけら笑われそうだけど。 『恋愛は壁でも槍でもないんだから、当たってもくだけたりしないよ』 3日前の実咲の声が頭の中で再生される。それでもやっぱり、当たりにいく勇気はまだない。 アイスを口に運びながら、公園の入り口近くに何気なく目をやった時だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!