視線恐怖症の魔女ですが、殿下が私を妃に迎えると言って譲りません。

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「可愛い魔女さん? お返事を聞」 「むっ、無理です……! 私はこれで失礼します、さようなら!」  彼の言葉を(さえぎ)って(きびす)を返したドロシーは、手に持った(かご)からフルーツが(こぼ)れ落ちるのも気に留めず、脱兎のごとく無我夢中でその場を走り去った。 ◇  ドロシーは産まれてからわずか3年で魔法の才能に目覚め、10回目の誕生日を迎えた時にはすっかり立派な『魔女』へと成長を()げていた。  生まれつき虹色に輝く美しい瞳を持つドロシーの人生が大きく変わったのは、ちょうどその頃である。 「南の森には、虹をかける幸福の魔女が棲む」  ドロシーを見かけた3歳の子供が両親に向けて語ったそんな話が、村全体へ広まるのにはそう時間がかからなかった。
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