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あなたに触れられる理由が、
あなたのそばにいられる理由が、ほしかった。
私の好きな人は、私のお兄ちゃんでした。
◇
義兄と初めて会ったのは私が小学校1年生、6歳の時で、大人の都合で兄妹になった。
血縁関係はない、義兄は私の12歳上で、その時は既に18歳、高校3年生だった。
私と目線を合わせて「よろしくね」と笑ってくれたあの日は全ての始まりだったのかも知れない。
初めは人見知りを発動して、「うん」しか言えなかった私もすぐに懐いていた。それほど温かい人だった。
私は昔から甘えられる環境が近くになく、周りと比べるとかなり大人びている子であった。その反動もあってか、兄の前ではかなり《わがまま》だった。
常に一緒で、常に兄の後ろに隠れて、常に兄の大きい背中を追って。年中べったりだった。
忙しいのに、夜は遅いのに。
いつもそばにいてくれた。私を受け入れてくれた。
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