走り出した君を僕は黙って見とった。

10/18
前へ
/18ページ
次へ
「嫌じゃ……俺は……」  ようちゃんは何度か小さく首を振って、一歩、二歩と後退りをする。 なんで。 なんで逃げるんじゃ。 やっと会いに来たんじゃが。  ようちゃんは怯えた目をして、静かに、ゆっくり、離れていく。 待って。待って。 意地悪せんで。 おいていかんで。  僕に背中を向けて、スニーカーが踏み出した。 ようちゃん、ようちゃん。 ようちゃん、まって。 おいていかんで。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加