走り出した君を僕は黙って見とった。

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 一歩、二歩と、ようちゃんに近付く。  倒れたままの詰め襟の、細くて白い縁が真っ赤に染まっとった。  うつ伏せて動かん背中を見下ろして、やっと、ようちゃんの言葉や涙の意味がわかった気がした。  車に撥ねられた場所に、あの頃と変わらんままの見た目をした僕が現れたから、ようちゃんはあんなに驚いとったんじゃろう。  ようちゃんを追っかけた僕が事故に遭うたことを、自分のせいじゃと思うとったから、あんなに泣いとったんじゃろう。 じゃけどね、ようちゃん。 違うんじゃ。
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