走り出した君を僕は黙って見とった。

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 〈かげ〉の僕と違うて、太陽の〈よう〉いう名前がぴったり合うとる君は、いつでもみんなの真ん中におって、勉強もできて、運動もできて、僕の自慢の幼馴染みじゃった。  学校が終わったら、すぐにランドセル背負って走り出す君を、僕は毎日追っかけとった。  校門の前の十字路を越えて、寂れとる商店街を抜けて、野球もサッカーも出来るその広さだけが長所の公園まで走るんが、ようちゃんと僕の日課じゃった。  信号もロクにない道じゃから危ねぇって先生や親にはよう怒られたけど、信号もロクにないぐらい車も大して通らん道を呑気に歩いて、上級生らに陣地を取られて公園で遊べんようになる方が、僕らにはよっぽど大変なことじゃった。  そう言い返したら余計に怒られるんがわかっとったから、僕はすぐ、ごめんなさいって謝っとったけど、ようちゃんは毎回毎回言い返して、しょっちゅう先生に追っかけられとった。  じゃけど、ようちゃんの方がうんと足が速いから、結局、先生が先にバテてしまって諦めとったね。  僕には、そんなようちゃんがキラキラ輝いて見えとったよ。
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