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じゃのに、ようちゃん。
なんでなん。
「…かげ……」
ねぇ、なんで。
なんで、そがあ怖ぇ顔しとるん。
なんで、そがあ泣きそうな目ぇしとるん。
「かげ、おめぇ…何しよるんじゃ…」
期待に胸を膨らまして久しぶりに会いにきたのに、ようちゃんは昔みたいに笑うてくれんかった。
日焼けした肌より黒い、詰め襟の制服の裾をしわくちゃにして握る手は、昔より大きくてゴツゴツしとるのに、ガタガタと小さく震えとる。
冬の寒さのせいだけじゃなく真っ青になった唇が、どうしたらええかわからん素振りで口を開けたり閉じたりしとるのが、勇ましくて勝ち気なようちゃんらしくない。
短い髪も円い目も昔と変わらんのに、どこか面影のないようなその姿を、僕は不思議な気持ちで眺めとった。
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