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ただ知りたかっただけ。
悔しい。憎たらしい。それでいて羨ましい。
目の前に書き綴られた羅列を前に私は唖然とし、ページを捲る手を止めてしまった。
「何言ってるのか全然わからない。」
まず、読めない漢字が多すぎる。そして運命と破壊。道化?
やはり経験値の差ってやつなんだろうか。私が分かるのは道化も文学だってことぐらいで、読むには少し早かったかな、なんて少し後悔をした。
作者の考えは最後の結論を見れば読み取れるなんて先生は言うけれど、そんなことは全くなかったし、むしろ作者はより深く、強く、人間の根底にあるぐちゃぐちゃしたものを私たちに伝えようとしている、のだと思う。
私は戦争の時代にも戻れないし、彼が見た光景を私は知ることが出来ない。
彼が見た破壊とはどんなに美しく残酷だったのだろうか。焼け燃える野原。無邪気ゆえの無慈悲さ。作者の思いを体験できないことが悔しくて、悔しくてたまらなかった。
♪〜♪〜♪〜♪
そんなことを考えていたら朝読書が終わるチャイムがなった。はっと現実に引き戻されたとたんにクラスの学級委員が朝とは思えないほど声を張りながら「起立!」と言ったので慌てて私も立ち上がる。
「おはようございます。」
いつもと変わらない挨拶で始まる一日
それなのに私の心のざわめきだけが五月蝿くて、授業なんて頭に入らなかった。
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