紅掛花色 キミと空

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紅掛花色 キミと空

春はあけぼの やうやう白くなりゆく 山ぎはすこし明かりて むらさきだちたる雲の ほそくたなびきたる 「はっ はっ はっ… 」 近所の公園を抜けて、いつもの高台へと向かう。 白々と明けて行く夜から朝へ変わるほんのわずかな 瞬きをすれば見逃してしまうほどに… ほんの一瞬。 朝靄に霞む山から立ち昇る雲が 紫色に細くたなびく。 「すーーーぅ… … … はっ」 深く空気を吸い込み、小さく息を吐く。 早朝、この朝日をこの高台から眺めるのが日課。 季節によって空の色は様々変化するけど、春が1番好きだ。 1000年も昔に清少納言も同じ空を見上げていた。 そして、同じように感動したんだ。 この紅掛花色に染まる 春の空に… そんなことをぼやっと思いながら、徐々に明るくなって行く空をただただ眺める。 「 … … キレイ… …」 「っ!?」 しんっとした空間に、ふいに少女の声が溶け込む。消え入りそうな、微かな、それでもはっきりとした声だった。
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