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「梨華ぁ?言いたいこと、分かるかぁ?」
言葉に怒気を込め、円が上から梨華を見下ろす。
「わ~お!怒ってるよねぇ?」
「当たり前だろ!バカ!こんな時間に女が1人でウロウロしてんじゃねぇよ!」
「…え?」
てっきり、連絡に出なかったことに腹を立てているのだと思った。
円は自分のことなど同性と同じと思っているものだとばかり…
ーーたったこれだけのことが嬉しいなんて…私も健気だよね…
「で?玄関のあの荷物なに?」
その後ろで律が続ける。
「まさか、もうアメリカ帰る気なの?」
「ピンポーン♪元々4日間の滞在予定だったんだぁ」
「は?1週間って言ってたろ?」
へへっと照れ臭そうに笑い、梨華が続ける。
「情けない話、本当は今回帰国しないつもりだったんだけど…やっぱり、会いたくてね…円と律に」
勝気な梨華からは想像できない頼りない笑顔。
「会っちゃったら、今度は別れが辛くなるじゃない?」
「そんで、帰る日をズラして伝えてたの?」
律の問いに笑顔で答える。
「あーあ…最後、あんたたちには会わないつもりだったのになぁ…」
「飛行機は?何時?」
「明け方だから、これからタクシーで向かうよ!」
よっとその場から立ち上がり、梨華は大きく深呼吸をする。
「次帰って来た時こそ…円は私に振り向いてくれるかな?」
誰に対して言っているのか。
これまでにない、真剣な告白に感じた。
「…ごめん、梨華…。やっぱ俺… …春菜が好きだ」
「… …ふーん。だってさ!春菜さん♪」
くるっと春菜を振り返り、梨華がにこっと明るい笑顔で笑う。
「春菜さんは間違ってる。円は光なんかじゃない…」
「ぇ…?」
「毎日夜は来るけど、昇らない朝日はない。円は春菜さんの…太陽だよ!」
キラキラと眩しい笑顔。
なぜ円は梨華ではなく、自分を選んだのか…
もしかして自分はもっと…
自信を持っても、良いのかもしれない。
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