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春を迎え、日が沈むのもずいぶん遅くなった。
全ての授業を終えてさっさと帰路につきたかったのだが…
「ま〜どっかちゃん♪まぁた生活指導捕まってたの?
入学してからこれで何回目よ?」
にやっと相変わらずのいけすかない笑顔で、周防 律
(すおう りつ)が言う。
放課後に生活指導室へ呼ばれていた円(まどか)を待っていたのだろう。教室の椅子に片足を立てた格好で雑誌を広げていた。
「知るか」
「不っ良〜♪…ま、その金髪と目の色じゃね〜…天然じゃなきゃヤンキーよ?」
ヘラヘラと笑っている律を手元の雑誌ではたきながら、円は帰り支度を終えた。
「帰るぞ。急ぐから」
「ぇマジ?円、今日急ぎなの?」
「だから、今日は急いで帰るって言ったろ?ただでさえうっせぇ生活指導に捕まってタイムロスしたってのに…」
ブツブツと文句を言いつつ教室を後にする。
「にしても…光が差すと余計にキラキラするよなぁ」
「… …」
そう言いながら、律が円の髪にサラリと触れる。
と同時に、サッと頭を振り無言でその手を払った。
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