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「あ、あの!…円、くん…!!」
颯爽と帰路へ向かう円の背後から、少女の声が呼び止める。
反射的に振り返る円の視線の先にいたのは、見たことのない、見覚えもない少女だった。
制服のリボンの色から、3年だということは分かる。
ピンク色のラッピングされた小さな包みを持ち、頬を赤く染めている。
「…何?」
無愛想にそう返事をする円に、少女は慌てて手に持った包みを差し出した。
「あ、ぁの!これ、今日の家庭科で作ったんだけど…よければ、もらってくれないかなっ!?」
「いらない。」
「・・・ぇ…?」
少女の決死の告白を、表情をピクリとも変えることなくさらりと断り、そのまま再び帰路に着く。
そのやり取りを隣で終始見ていた律は大きくため息をつき、ビシッと円にデコピンした。
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