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「それは別に気にしなくていいんだけど。どうせ俺もやることないし。で、今年は人手が足りるってことでいいのか?」 「え、分かんない。私も多分手伝うけど、人手はあった方が絶対いいし」 「だよな。正直三人でやるのもなかなか厳しかった」 「ちょっと待ってて、聞いてくるから」 「頼むわ」 「ねぇ、お母さーん! ちょっとー!」  美奈子は玄関から食卓の方へ歩きながら晴美を呼ぶ。  匠は、声が大きいところは親子そっくりだなと思いながらその様子を見ていた。 「悪いわねぇ、騒がしい子で。ビックリするでしょう?」  美奈子と晴美は共に戻ってくる。  匠は思わず「二人ともそっくりですよ」と言いたくなったが、その言葉を飲み込んだ。 「それで、お手伝いなんだけど、今年も頼めるかしら?」 「いいですよ。ただ、日程だけ教えてもらえれば」 「お父さんにも聞いたら、まずは種まきが四月の三週目と四週目の土日。田植えがゴールデンウィークなんだけど、天気次第って感じね。雨が降ったら出来ないし、予定はこことここ……あとこの日も」  玄関に飾られた農機具メーカーのカレンダーをめくりながら日程を伝える。  匠はそれをポケットから取り出したスマートフォンに器用に入力していく。 「今のところはそのくらいね。お仕事大丈夫?」 「問題ないっす。平日だけなんで」 「よかったわぁ。美奈子じゃ頼りないもんね。お手伝いお願いします」 「実の娘に対して頼りないとか酷くない?」
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