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太陽が照り付け、鉄板と化した道を歩く。
「おーい、カーイ!」
後ろから、大声で呼びかけられる。
「やっほー! さっさと行っちゃってひどいな、もう」
そんな風に話しかけてきながら、隣を歩く少女を無視して、早足で歩く。
「……ね、無視? クラスのみんなにバラしちゃうよ?」
「チッ」
「あ、舌打ちした」
「だから何だ。文句なら受け付けてない」
冷たく言い放つ僕に、少女は満足げに笑う。
「ん、やっぱこっちの方がカイらしくていいね」
僕らしいってなんだ。僕のこと知らんくせに。
「ねぇ、お盆のお祭り、もうすぐなんだけど一緒に行かない?」
「断る」
間髪入れずに答える。
「考える間もなく!?」
「考えるまでもない」
淡々と冷たく言い放つ僕に、少女は大袈裟に肩を落とす。
「冷たいな……そんなだと、私消えちゃうよ?」
沈んだ声で言う少女を一瞥して、僕は問う。
また、余計なことを口に出す。
「それってさぁ……死ぬってことだよね? 君は死ぬのが怖くないの?」
少女はぴたりと立ち止まった。僕も、そこから二歩進んだところで立ち止まる。
「例えば、カイが、明日死ぬ……として、そしたら、怖い?」
少女は一言一言途切れさせながら、問う。
「怖い……とは思うんじゃないかな。正直、実感がわかないから何とも言えない。想像が出来ない」
自分が明日死ぬ。
恐怖がわくことはなかった。
「でしょ? どうせいつかは死ぬくせに怖いとか、おかしくない?」
問いかけるように言ったくせに、僕の返答なんて最初から期待していないらしく、少女は僕を追い越して行ってしまった。
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