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愛しい人たちよ。
お願い、どうか私を呼んで。私をこの暗闇から復活させて。
餓えた吸血鬼でいたくないの。飢えたゾンビとして復活したくないの。
お願い、どうか私を復活させて。復活の呪文を、私のために唱えて。
もうすぐ夜がやって来る。
明けない夜がやって来る。
飢えたケモノが貪り合う時間がやって来る。
お願い、助けて。私はその仲間入りをしたくない。
忘却の森に棲むワガママ魔女の様に、全てを忘れてわらっていたくない。
お願い、唱えて。復活の呪文を、いつか唱えて。
それは今じゃない。
いつか再び、夜が正しい陽の光に照らされるその時に。どうか私をもう一度、月の照らす夜に復活させて。
アナタと出会うために、復活させて。
だから、おやすみなさい。
愛しい人たちよ。
私は信じて目を閉じる。これ以上狂いたくないから、これ以上自分を壊したくないから。私は眠る。
せっかくの夜に眠るなんて、もったいないかもね。
私は吸血鬼お嬢様。自分に誇りを持ったまま、復活を待ちたいの。
私はロリータ・ナイトタイム。バラの花さえ眠るこの夜に、信じて眠りにつきましょう。
あなたたちがこの森に。この「記録の森」に復活を望むというのなら。
私たちはその声に耳を傾けるわ。
誰かの唱えた「復活の呪文」に応えるわ。きっと。きっとよ。
それまで命をたちたくないから、私は眠るの。
奇跡は続く。生きて奇跡は起き続ける。
復活の呪文の声に応えるために、私は生きて眠り続ける。
おやすみなさい、みなさん。
よい夢を。
一人の吸血鬼が眠りについた頃、終わらない夜が世界を包み込んだ。
消えてしまった太陽の代わりに、月が世界を守り始めた。
「復活の呪文」は、まだ聞こえない。
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