復活させて

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復活させて

ごきげんよう、みなさま。 いかがお過ごしかしら。 さて、突然だけど。 あなたたち、今にも死にそうね。 失礼。でもほんと、今にも死にそうな顔をしているわよ。 真っ青で、まるでそこらを彷徨いてるゾンビのよう。 吸血鬼である私が言うのもなんだけど、あなたたち、とっても不味そうよ? そんなに生きているのが辛い? ふぅん。 そう。 そんなに命を終わらせたいのね。 どうせ、すぐに転生できるから~とかとでも思っているのでしょう? いいことを教えてあげるわ。 この世界には「転生」なんてルールはどこにも存在しないの。「生まれ変わって」「次を」期待するなんて不可能なのよ。それでもいいなら、とっととその今あなたが手にしている「命」という奇跡を終わらせるといいわ。 奇跡と名のつくものは、二度は起きないもの。私だったら、そう簡単に手放したりしないけどね。 それでもいいなら、とっとと終わるといいわ。 あら? なによ、その顔。 生まれ変われるとでも信じていたの? おバカさんね。 じゃあ、あなたは何の生まれ変わりだと言うの? ほら、言ってみなさいな。 ほら。ほら。 言えないでしょう? 覚えていないのでしょう? 所詮そんなものよ。 生まれ変わったとしても、覚えていなきゃ「続き」も「やり直し」も意味がないわ。次に生まれた時はまっさらなベイビーちゃん。それでいいじゃない。 あなたは消えて、誰かに道を譲る。 誰だってそうよ。 いつかは吸血鬼の私もいなくなる。 いなくなった私の場所はぽっかり空くでしょう。でも、別の誰かがすぐにその場所を埋める。 世界ってそういうものよ。 がっかりするものでもないわ。 誰だってそうなんだもの。 チョウだって、トンボだって、イヌだって、ネコだって、コウモリだって。きっとバラだってそうよ。 それでも、同じ場所に居続ける存在がいるとしたら。 それって、呪われているんじゃない? 命が終わっても別のとこにいくことさえできやしない。 お前はずっとそのイスに座り続けろ。私にはそう言われているとしか思えないわ。 そうがっかりしないでよ。 死にそうな顔が死んでる顔になってるわよ。 そんなあなたにいいことを教えてあげる。
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