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息子だけじゃないと知っている。先生が上から目線で子ども達を傷つけていること。この先の進学や就職に響くかもとみんなが見て見ぬふりしていること。自分もそのひとりだったこと。けれど、見て見ぬふりしている自分が一番嫌だったことを思い出した。
「この学校にいても正しい評価はしてもらえない。見てもらえる場所に行きましょう」
息子はびっくりとしていて動かない。今までのことを思うと応えのない状態に心が折れそうだ。でも、友達と話してわかった。気持ちを伝えた旦那もすごいし、うれしかったことを伝えてくれた友達もすてきだ。大事なことを見落としたくない。
「色々言われるよ……?」
「覚悟の上よ」
「後悔しない?」
「しないとは言えないけど、今よりはしない」
盛大に噴き出す声がした。
「母さん、ごめん、最高。ごめん、みんな、俺、帰るわ」
息子と手をつなぐなんて何年ぶり? ドキドキしながらそれを隠して息子の手を引いて野次馬や制止しようとしている教師陣の間を突き進む。
「かっけぇ……」
誰かの声がした。
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