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見開いた彼女の目から涙がぼろりと溢れた。泣きじゃくる彼女の手を引いて、僕は走る。
「私、ちょっと変なアレルギー出ちゃって、体質だから薬もないって言われて、ちょっと助けてほしいって言ったのに、慣れろって」
「慣れるもんじゃないだろ」
「そう言っても聞いてくれないの! 無理して頑張ったら、褒められるの。慣れてきたみたいで良かったって」
「バカじゃないの、その人」
「しんどいって言ったら、仕事できないのかって」
「そんな仕事、辞めちまえ! 一緒に新しい仕事も探す! 助けれることは何でもするから!」
「ぅわぁぁぁぁぁぁ! 好きでなったんじゃないアレルギーでなんで否定されなきゃいけないのよ! しんどい! しんどいよぅ‼ 体も、心も、風邪以外許されない世界なんて、大嫌い!」
今まで抑えていた気持ちを泣き声に変えた彼女と彼女の手を引いて走る僕を見て誰かが走り出すのが見えた。
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