望みに向かって

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 久しぶりにうれしい女は友達と電話した。のろけもあるけれど、なによりも――  「うれしいことを伝えたくなったの」  苦笑(くしょう)した友達は言葉に迷い、それでもなんだか満足気(まんぞくげ)。  「元気なら何よりだよ」  ほっこり気分で通話を終えた彼女は元気をもらったのか「よし」と立ち上がって化粧(けしょう)をしっかり、スーツをきっちり着込んで、ヒールの音も高らかに息子の通う学校に乗り込んだ。  「母さん!?」  無理やり学校に行けと行かせておいて何事だと思うだろうけど、  「帰るわよ」
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