望みに向かって

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 「人はもっと欲望(よくぼう)忠実(ちゅうじつ)でいいと思うんだよ」  (あおぐ)は自室のベッドに身を横たえたまま、見舞いに来た僕に言った。首を(かし)げた僕に穏やかに微笑(わら)って扇は消えているパソコンに目をやった。  「みんな、起きてしまってからの後悔(こうかい)ばかりだ。ああすれば良かった、こうすれば良かった。この世界はさ、いつから動けなくなったんだろうね?」  僕はどきんとして胸を押さえた。今気にしていることがまさにある。扇は心を読んだように首を傾げて問いかけた。  「恋人さん、元気?」
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