プロローグ

1/1

150人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

プロローグ

幼い頃から自分が随分と恵まれていることは知っていました。しかしそれを幸せだと感じたことはありません。 なぜ?と感じる人もいらっしゃると思います。 理由は簡単。私の家系が特殊だからです。 私の家系では幼い頃から高い教養を身につけることでようやく自分の名を名乗ることができます。つまり、家が求める教養水準を達しなかった場合そのものは欠陥品として烙印を押され家を追い出されます。残酷ですよね。 私はどうだったか?もちろん求められた水準以上の結果を出し当主のお墨付きまでいただき合格しました。 まぁここまでなら私もこの家に生まれた義務だとかなんとかで割り切ることが出来たと思います。 でも私の場合は自分で言うのもあれですが顔面偏差値?というものが高かったんですね。それにより幼い頃から知らない方に言い寄られては気分を害していた記憶があります。 言い寄ってくるものたちに怯えるなどという弱みを見せた場合、連れ去られることもありました。これを幸せと言えると思いますか?この時ばかりは自分の生い立ちにも自分の顔にも嫌悪を抱きました。 でもどうする術もありませんでした。ただただ怯えて耐える日々。しかしある時私は希望を見いだしました。自分を守ることの出来る自分だけの武器を得れば何とかできるのではないかと、、、。 そこで私は自分自身を害悪から守るために自己防衛として笑顔の仮面という武器を手に入れました。 何が起きようと決して崩れることの無い仮面。そのおかげで私は社会を生き抜いていくことが出来ました。 もし私の武器の弱点をあげるとすればそれは、誰にも救いを求めることが出来ない。 それが仮面の唯一の欠点でしょうね。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加