5_1 機密事項

4/7
前へ
/46ページ
次へ
ネジ曲がった金属と焼けた石灰質が散乱している。その中心、小惑星状の、艦本体と目される塊が、全体をひきつけている。 ”航行記録探査開始” ――重力式跳躍航法とは所謂ワープの事で二十一世紀中に理論的に技術化された航法の事。古典作品にはフィクションとして導入されている。現代ではOSD(Over Stars Driver)と呼ばれ、単にジャンプとかシンクとも呼ばれているが、呼称には揺らぎがある。惑星や恒星などの大質量が或る処では使い難いのが不便と言えば不便。航法はOSD以外ではND(Newton Driver)を用いている。どちらも二十一世紀に理論的に実用化された反物質炉の高エネルギーによって成立している―― ”標準プロトコルに反応なし” 「探査機による精査開始」 ――航路上の障害物は、発生させた重力の歪、シュバルツシルトの闇の中へと葬ってしまった、にしてしまう所だったのだが、宇宙船の残骸と言うことで、上から要調査の命令が出て、船籍と破壊状況、生存者の確認と航行記録の回収をしなければならなくなった―― 「当該区域の交戦、事故記録を照会」 ――航路とは、予め敷設されたブイによって安全を探査点検された宇宙船の通り道で、この航路上成らば何L(Light)で航行しようと船の許す限りの超光速で航行できる道路のようなものだった――。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加