5852人が本棚に入れています
本棚に追加
「それは…」
二郎さんが口ごもり樹里を見た。
「二郎さん、私…昴には全部話したから…少しずつだけど全部」
「そうか…樹里…渡瀬さんと座りなさい」
ターシャがいたときの名残か…6脚の椅子が囲むテーブルにつくが、すぐ
「真澄ちゃん、急にご飯って大丈夫?」
「大丈夫じゃなくても樹里と昴くんがこっちにお腹を合わせなさい」
「うん、ありがとう」
樹里が立って僕と二人分の箸とコップを持ってくる。樹里が来てもいいように小ぶりのハンバーグが2つあったのをひとつずつと、たくさんあったマカロニサラダ、冷蔵庫から漬物などが出てきて
「バラバラだけど、とにかく食べなさい。私たちは終わったところなの」
と真澄さんが少なめの味噌汁を置いてくれた。
「ありがとうございます。いただきます」
すぐに遠慮なくいただくことにする。まだ僕の様子を窺う樹里に
「うん?僕のハンバーグも欲しい?」
と聞いてみると、首を横に振った樹里も慌てて手を合わせて食べ始める。
「昴、明日送ってくれるの?」
真矢ちゃんがお茶を飲みながら聞くので食べながら頷く。
「助かる。お願いします」
「うん、明後日も送るよ。迎えにも行く」
「樹里?」
「そうだね。混雑する電車に乗り換えてまで乗らなくても僕が送迎するよ。もちろん樹里に会えるし」
「真矢は昴って呼ぶのね…私は昴様と呼ぼうかしら?」
「…真澄さん…」
「はいはい?」
「様は…ちょっと…」
「ダメ?じゃあ、昴くんにするわ」
最初のコメントを投稿しよう!