天使でなくプリンセス

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その日は輔と顔を合わせなかったが、翌朝出勤前に一緒になった。 「…はよ」 「うん…輔、珈琲あるよ」 僕がグラノーラを食べながら言うと、輔は珈琲をカップに入れながら 「昴…俺は彼女の何を見ていた…?」 そう聞く。まだ自問自答している最中かな…特に僕に答えを求めていないと思う。珈琲のカップとバナナを手に僕の前に座った弟は 「どれだけ考えても…2か月前以上に知ったことってないんだ…樹里のこと」 「…天使だけにね」 「ムカつく…昴にわかって俺にわからなかった…」 「思い込みとか先入観ってそんなものだよ…ドンマイ、輔」 寝不足の赤い目で睨まれても怖くない。 「プラトニックなお付き合いでって言った真相も聞けてない」 「天使だからでしょ?」 「マジでムカつく」 「…珈琲…冷めるよ」 僕はグラノーラの皿と珈琲のカップを持って立ち上がると 「僕は彼女を完璧なプリンセスにするよ」 と言い、水を出す。 「昴…樹里のことを好きなのか?いつから?」 「いつからなんだろうね…輔が付き合うって言っても良かったねって思っていたことは事実。でも、昨日直接言葉を交わすと…好きなのかな…その言葉はまだ使えないけど、あの儚さ脆さは僕を惹き付けるよ…僕の隣で笑って欲しいと思う」
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