王子様でも

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王子様でも

昴が、祖母の2年間も私の2年間も幸せだったと言ってくれたのがとても嬉しかった。私が迷いなく良かったと思えることで全てを肯定していいと、そう言ってくれたようだった。 当時‘頑張ったね’と数えきれないほど言われたけど、頑張ったって死んじゃったよ…と思ったこともある。でも、昴の言葉は頑張ったかどうかではなく、良かったと思えるのかどうか…大変な手術だったけど受けて良かったのか。大変な生活だったけど人任せにせず二人で暮らして良かったのか。どちらも迷いなく‘良かった’と思える、言える。それでいいんだよ、そう言ってくれたんだ。 帰ってすぐにお風呂に入り、かぴかぴの顔を丁寧に洗う。ふーっ…泣いたのはいつ以来?疲れた…。彼は本当に不思議な力を持っている。私にいろんな話をさせ、泣かせるんだもの。初めて会ったよ、そんな人に。 お風呂から上がり、作りおきのチャーハンを冷凍庫から出しレンジで解凍しながら髪を拭くとpurururu… 「はい、真矢?」 ‘今何してる?行っていい?’ 「ご飯食べるところ。来て」 ‘鍵自分で開けるから’ すぐに暗くなったスマホを置いてレンジからチャーハンの皿を取り出すと 「いただきます」 空腹を満たすべく大きな口で食べ始めた。 「樹里」 「ん…いらっしゃい、真矢」 モグモグする私の皿を覗いてから、真矢は勝手に珈琲を入れ始める。 「真矢、私のもお願い」
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