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「ミカオ……キレイだよ。こういうスッキリしたデザインが似合うと思ってたんだ!」
観音開きのスイートのドアを開けて、オレを見るなり匠が感嘆の声をあげた。招き入れられた広いリビングでは、比呂が出迎えてくれた。
正装の2人は、すごくカッコいい。そして、全身から幸せが滲み出るようだった。
「こんな無茶振り、聞いてくれるのミカオしかいないよ。本当にありがとう」
匠がそう言うと、比呂が微笑みながら首肯した。
「おまえらホント無茶苦茶だよな。オレの分まで全部カネ払って、こんなドレスまで……」
「雰囲気が大事なんだ。今日だけは」
「初夜にはウェディングドレスがなきゃ、ね。すぐ脱がしてあげるから、もうちょっと我慢して?」
そんなふうに言うなら、どっちかがドレスを着ればいいのに。でもそれができない2人なんだって、オレはもうわかってる。
できない、じゃなくて、しない、かな。
2人ともが、対等に男でいたいんだ。どっちかが女役になったりしない。したくないし、させたくない。それがきっと、これからもずっと、2人のかたち。
オレは2人が好きだから、そうやって2人が対等でいることを手伝えるなら、今はそれが嬉しいって思う。
だから女役は全部、オレが引き受ける。
たとえ求められているのが身体だけでも、それがオレたち3人のかたちだから。
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