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明け方のプライベートビーチは静かだ。
ハイヒールを途中で脱ぎ捨てて、オレはしっとりした砂浜を一人で歩いた。引きずらないようにと裾を持ち上げたのは最初だけ。長いドレスの裾は、オレの足跡を消すように砂をならしていく。
背中の紐は解けたまま。でも、誰も見てないから問題ない。
比呂と匠に何度も求められ、目覚めた時にはカーテンの隙間から白い光が差していた。
男3人が横になっても余裕のあるベッドからそっと抜け出して、オレは体液で汚れ乱れたドレスのままでビーチに出た。
見上げると、丘の上には昨日の教会がある。2人が永遠の愛を誓い、祝福された場所。そしてその上には、幸せな2人がまだ眠っているだろう、スイートルームの窓が見えた。
ずっと幸せでいてほしい。
今は心から、そう思う。
比呂のことも匠のこともすごく好きで、いつかオレを好きになってくれないかなって思ってたけど。
オレはただ、「誰か」に愛されたかっただけだから。
信頼して、尊敬して、唯一無二の存在だと認めあいたい。
愛した人に愛されたい。
でもオレのその相手は、比呂でも匠でもない。
それが、やっとわかったんだ。
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