161人が本棚に入れています
本棚に追加
昼間はカップルと家族連ればかりのビーチも、時間をずらすだけで別世界だ。
1人でジョギングする男。
波間から手を振ってくる男。
その気になれば出会いなんて、いくらでも転がってるんだよな。
オレはドレスの肩紐から腕を抜き、生地をウェストで折り曲げた。
裸の胸に、朝の潮風が気持ちいい。その姿で手を振り返したら、海の方からピュウッと甲高い指笛が聞こえた。
なんだか嬉しくて、自然に笑みがこぼれる。清々しい気分だ。
もしオレだけを愛してくれる人ができたら、もうタチでもネコでもいいやって、今は本気で思ってる。
身体よりも心が強く繋がってる。
いつかオレにも、そんな相手ができたらいいな。
そしたらその時は、勝ち誇って2人に言ってやろう。
もうおまえらにつきあってやんねーよ!
ってさ。
【了】
最初のコメントを投稿しよう!