回しぐるま

5/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
どこにも辿り着かないネガティブ思考は、堂々巡りを繰り返す。 そして、いよいよ自分を責めることにも疲れてきた和香子の矛先は、友里恵に向かった。 彼女の貴重な休日の予定をふいにしてしまったことは心から申し訳ないと思っている。それでも、無視することはないんじゃないか。せめてスタンプのひとつくらい返してくれたっていいのに。 おそらく、私の方がより今日の日を心待ちにしていたはずだ。落胆と罪悪感で萎んだ気持ちを、さらに踏みつけるようなことをしなくてもいいのに。 子供のいない友里恵には、私の気持ちなんてわからないんだ。 いつも以上に手のかかる麦を抱いて、心の余裕がなくなっていることを自覚しながらも、和香子は友里恵を責める気持ちを抑えられない。 そんなに気になるなら、電話の一本でも入れれば良いものを、なかなかそれができないのが和香子なのだった。 勇気を出して電話をかけて、もしも冷たい態度でもとられたら、立ち直れる気がしなかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!