ダルマストーブと賛美歌

4/4
前へ
/4ページ
次へ
* 「見て! 点いた」  修理に出していたダルマストーブがさっき戻ってきた。実家は全て処分したがダルマストーブだけは手放せずに家に持って帰っていた。  夫が古いダルマストーブに手をかざすと「温かいなぁ」と呟いた。 「いいでしょ」 「ああ、良いね。これスルメとか焼ける?」 「焼ける焼ける。干しいも焼いたりね」  最高じゃん。と、夫が言うから、私は頷いて賛美歌を口ずさむ。 「マァちゃんは機嫌がいいと賛美歌歌うよな」  そう言う夫の顔が一瞬母の顔と重なった。  赤々と燃える炎に体中が温まっていく。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加