44人が本棚に入れています
本棚に追加
もう絶対諦めなきゃって思っていた。
叶わない恋だって思っていたのに。
こんなの、信じられない……。
涙を引っ込めたくてまた袖で瞼を擦る。
「ああ、もう。せっかくの可愛い顔が傷だらけになってしまうでしょう」
「可愛くなんてない……」
泣きながら反論したら――
「だから擦らない……」
ぱふん、と音を立ててぼくの体が強く抱きしめられた。
体はもう冷たくない。優しくてあたたかな……。
あるのは大好きな人の体温だけ。
「雅さん、好き……うぇぇっ……」
泣きながら告白すれば、真っ白い歯を見せて笑った。
それは今まで見たことがない綺麗な笑顔だった。
ひらいた目に写るのは、木々に飾られ、キラキラと輝くイルミネーション。純白の天使の羽のように舞い降りる淡雪。
そして、ふんわりと笑う大好きな人。
「好きだよ、サクラ。君の泣き顔もすべて俺のものだ。誰にも渡さない」
告げられたクリスマスプレゼントは、クリスマスケーキよりも甘い言葉だった。
☆*::*:☆MerryXmas☆:*::*☆
最初のコメントを投稿しよう!