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2 奴隷の日々
数日後、傷が癒えたと見るや、俺は足輪はそのままに、小屋の外に引っ張り出された。
それから始まったのは、文字通り地獄のような日々であった。俺は、昼夜を問わず、あらゆる労働に奴隷として女たちの意のままに使われた。
薪割り、水汲み、畑仕事……ひとつひとつの作業は、俺が故郷の村でこなしていたような、単純で、ありきたりの動作だった。だが、それが一刻の休みもなく続くのだから、たまらない。
一息吐こうと立ち止まりでもすれば、容赦なく、見張りの女の鞭が唸りをあげる。それに身を捩って地面に身体を転がせば、殴打が飛ぶ。冷水をかけられる。熱した薪を押し付けられる。
ときには、その拷問に身悶えする俺が見たいばかりに、女たちはこぞって俺を小突き、男根を蹴飛ばし、わざと仕事から手を離させた。そして、仕事を怠けた罰と称して、俺を嬲りものにし、嘲笑った。
いったい、人間とは、ここまで残酷になれるのかと、おぼつかぬ意識のなか、俺は何度も思ったものだ。だが、彼女らを突き動かしているものも、親しいものを殺され、生活を破壊され、そして自らを嬲られた哀しみと怒りほかならない。
女たちは、自らの当然の怒りを発露しているに過ぎないのだ。
ただ、それが俺というひとりの人間に、集中している、それだけのことなのである。
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