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序文
雪の降る朝は、筆をとりたくなるものだ。
しんしんと降り積もる雪の音をまだ夜の明けない早朝に聞きながらまんじりともせず温かな布団にくるまっていると、なんだか無性に切ない気持ちになる。そんな切ない気持ちをどこかに吐き出したくもなる。
それでふと思い立ち、昔聞いて回ったいろいろな物語をここにつづろうと思い立った。
昨晩も遅くまで本を読んでいたから頭がぼうっとしている。寝不足の頭が導き出した根拠のない自信にしたがい、ついついこんな駄文を書き始めてしまった。
けれど、手をつけたのであれば、できるところまではやりたいと思う。
まずは、布団から出てファンヒーターをつけなければ。
枕元の読書灯の電源を入れると、暖色系の光が狭い部屋を照らした。
ベッドの脇に脇テーブルの代わりに置いた段ボールの上には昨晩読み終えたばかりの本が置いてある。一瞬書く側ではなく読む側に戻りたくなる。
だが、書きたい欲望は強く、きっと冒頭くらいならなんなく書けるはずだと言い聞かせた。
ファンヒーターの電源を入れ、次いでタブレットパソコンの電源を入れる。昨晩眠りにつくために見ていた動画配信アプリが開いたままになっていた。
メモアプリを起動した。
そうして、僕はこんな文章を打ち込んでいる。とりとめもない駄文。一種のマスターベーションのようなものだ。
ようやくファンヒーターの電源がついた。
ほこりっぽいにおいが部屋に広がる。でも、その音だけでなんだか温かくなるのだから不思議だ。
さて、久しぶりに物語を紡ごう。
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