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『月御門神社』の総本殿は富士山麓にあるので、『榛名 月御門神社』は、国内に数か所ある分祀のうちの一社ということにはなるが、
「榛名のところの祭守は、ミドコロがある」
と、一族の間でも聞こえが高い。
祭守というのは、月御門神社の宮司だけに昔から与えられる、独自の呼称である。
月御門家の起源をさかのぼれば、陰陽師の代名詞ともいうべき安倍 晴明を輩出した陰陽師界の名門土御門家の始祖にたどりつく。
一族にのみ伝えられる伝承によれば、月御門家は、『かぐや姫伝説』とも深い因縁がある。
かぐや姫の昔話に登場する「帝」こそ、月御門の英雄たる安倍 晴明その人だというものだ。
かぐや姫の正体は「影夜姫」という凶悪な荒神であるとされ、月御門神社の総本殿には、影夜姫の荒魂を封印する祠もある。
月御門神社の役割は、安倍 晴明が富士山麓に結界をはって封印した荒魂の祠を代々守り続けるとともに、現世にはびこる数々の悪霊や魑魅魍魎を調伏することなのだ。
そのため、月御門の祭守の最若手である陽向も、陰陽師として数々の呪法をあやつることができる。
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