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小学生なんてサルに毛が生えたみたいなものだ。
チンコとマンコには毛も生えていないくせに。
馬鹿の一つ覚えのようにリボンを結びカチューシャをした女子たちは、少しかっこよくて、少し勉強が出来て、少し運動ができる男子に挙って恋をする。
その3つを偶然持っていた柿崎は、女子20人中18人が自分を好きだと言っている事実にうんざりした。
モテる男子というのは、必然的に学級カーストも上がるもので、柿崎はあっという間にガキ大将やボスと言われる類のポジションに担ぎ上げられた。
「透~。あいつ、また女子を泣かせたんだよ。怒ってやってよ!」
「透!あの野郎、また宿題見せてもらおうとしたんだぜ?」
「透、聞いてくれよー。あいつに貸した漫画、兄ちゃんに又貸しされてさあ!」
―――うっせえよ。
柿崎は、ある日突然プツンと切れた。
なんで俺がお前らの問題ごとを把握しなきゃいけないの。
なんで俺が頭を悩ませて全部解決してやんないといけないの。
穏便に?丸く収めて仲良しに?
なんで俺がバラバラのクラスメイトを良い具合に形成してやんなきゃいけないんだよ!
ただのバカなクソガキ共をーーー。
そんな時、目に入ったのが喜多見だった。
当時彼は、当たり前だが髪も黒くて、形のいい耳にはピアスなんかもつけていなくて、クラスではどちらかというと暗くて目立たない方だった。
不細工でもないがイケメンでもない。
スポーツだって、並の並。
勉強においてはからっきしだ。
それでもクラスメイトの女子20人中残る2人は、喜多見のことが好きだった。
――なんだろ。どういう魅力があるっていうの?こいつに。
興味を持った柿崎は、放課後、自分にまとわりついてくる男子と女子をなんとか撒くと、ランドセルを片方の肩に突っかけて帰る喜多見の後を尾行した。
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