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昼食は、鳥の唐揚げとポテトサラダだった。 あらかじめ白石と打ち合わせした通り、泉は自ら進んで麗奈と食器の後片づけをしていた。 「本当にありがとう。やっぱり泉君は優しいのね」 「いや、別に」 ”柿崎に会わせてほしい” その申し出のための機嫌取りだと考えもしていないだろう麗奈は、心底嬉しそうに微笑んだ。 昼食にも柿崎は来なかった。 それどころか説明もなかったし、柿崎の分の食糧を取り置きしている様子もない。 もしかしたら、柿崎はもう……。 こうなってくると手動ポンプに仕掛けをするための口実であるとはいえ、柿崎に会わせてもらうのも難しいかもしれない。 寧ろ言った途端に矛先がこちらに向かないとも限らない。 ーー慎重に切りださなければ。 泉は蛇口から安定して出ている水を見ながら小さく息を吐いた。
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