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◇◇◇◇ 階段を上っていく麗奈を見送り、泉はもらった笛を見下ろした。 まさかこれを実際に吹くなんてことが今後あるとは思えないが、それでも何もないよりは心強かった。 これから何と言って彼らの元に戻ればいいのだろうか。 「つい」? 「咄嗟に」? 「自分でもよくわからないんだけど」? そんな言葉で納得してくれるとは到底思えない。 言葉を聞いてくれるならまだいい。 もしいきなり襲い掛かってこられたら―――。 「ーーー!!」 トボトボと廊下を歩いていた泉は、後ろから伸びてきた手に口を押えられた。 「ッ!!」 そのまま羽交い絞めにされながら、玄関脇のクロークに引きずり込まれた。
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