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「―――え」 泉は硬直した。 「柿崎は結局夕飯にも来なかった。相当具合が悪いのかもしれない。そうなったらもうあれだろ。の方でも役に立たねえだろ。そうなったらあのバケモノにいつ喰われてもおかしくない」 「そ……そうだけど」 「お前が替わってこいよ。そんなにあの女のことが好きならできんだろ」 「――――」 ーーやっぱりそうくるよな。 辻は小さく息を吐くと、諦めて口を開いた。 「―――俺が」 その声に泉がピクリと反応する。 「俺が、いくよ」 白石が視線を上げ、喜多見が振り返る。 「俺がいって、時間稼ぎする。その隙に、お前たち3人はあの庭を突っ切って逃げろ」 「柿崎は」 すかさず喜多見が言う。 「……なんだよ冷てえな。逃げたら帰ってこないつもりか?」 ふっと鼻で笑ったが喜多見は目を反らすことなくこちらを睨んでいる。 「俺が気をそらせてる間に、警察なり自衛隊なり戦車なりを連れて来いってこと」 「3人なんて」 白石が低い声を出した。 「無理だろ。スプレーはあと1つしかない。2人ならまだしも、3人で使うなんて……」 「それについては……」 辻は喜多見を見ながら言った。 「俺に考えがある」
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