421人が本棚に入れています
本棚に追加
「覚えてねえかもしれないけど。2日目の朝、山田が喰われた朝だよ。そんとき、玄関で俺と会ったのを覚えてるか?」
辻の言葉に喜多見は首を捻った。
「お前と、そう泉だよ。2人して外から入ってきた」
「……あ」
泉が口を開けた。
「何をしてきたか聞いた俺に、お前らは“宝探し”と言ったんだ。ーーどこまで行ってきた?」
「――――」
泉が喜多見を振り返り、喜多見も眉間に皺を寄せながら頷いた。
「屋敷の外だ。バナナを……。か……カブトムシの罠を仕掛けに」
「でもその時は枯葉なんて襲ってこなかったぞ」
喜多見が解せないという表情で首を傾げた。
「そう出てこなかった。なんでかわかるか」
「――――」
泉はピンときたようで喜多見を見つめた。
「――煙草だよ」
辻は言った
「俺も経験がある。虫ってのは煙草の匂いが嫌いなんだ」
最初のコメントを投稿しよう!